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立山登山の心得【富山県警山岳警備隊から教わる】

夏山登山のシーズンですね✨
富山県では学校行事として立山登山をする小中学校が多いんですよ!

先日、富山県警山岳警備隊による引率者向け登山講習会に参加しましたが、役立つことをた〜くさん教わりましたのでご紹介します😊

目次

立山登山とは

標高2450mの室堂から、3003mの雄山頂上まで
高低差553mを約2時間で登るとてもハードな運動です。山頂の3000mは上空なので空気が薄くて気圧が高い、紫外線はとっても強いそうです🌤️

タイムスケジュール(例)

立山登山は午前中が必須!
午後になると積乱雲が下から上がってきて天気が悪くなります⚡️

ニュースの天気予報ではなく、山の天気サイトをチェックして天気が悪い場合は登山を中止しましょう。山の天気は変わりやすく30分で大きく変化する場合があるとのこと。

STEP
8:30:室堂出発(2,450m)
  • 前日は夜8時に就寝
    早朝出発だと寝不足になり体調不良で高山病のリスクが高くなる。
    できれば室堂での前泊がおすすめ

  • バスで眠らない
    交通機関で標高を上げると高度順応が追いつきにくい。眠ると呼吸が浅くなり高山病にかかりやすくなる。
STEP
 10:00:一ノ越到着(2,692m)

室堂から一ノ越(2,692m)までは、ゆるやかで整備された登山道を歩きます。途中で雪渓が残っている場合があるので、注意しながら歩きましょう。

  • 1回目の休憩 ☕️
    トイレはチップ制で100円程度が必要です。雄山山頂までトイレはありません。

    水分のほかに塩分(脱水予防)や糖分(カロリー)も補給しましょう。
    休憩中は体を冷やさないように上着を羽織ると良いですよ。
STEP
三ノ越到着

一ノ越からは岩場の急登となり、1時間ほどで神社がある山頂に到着します。
二ノ越の前は渋滞することが多く時間がかかる場合があります。

  • 2回目の休憩 ☕️
    山側を向いて休憩しましょう。万一の落石に備えることができます。
STEP
11:30雄山山頂(3,003m)到着

社務所のそばにある頂上峰本社があるのでお参りに行けます。
トイレはチップ制で100円程度が必要です。

  • 昼食 🍙
    おにぎりなど手軽にサッと食べられるものがおすすめ、山頂は混み合うため滞在時間が短くして、三ノ越で昼食でも良いかもしれません。
STEP
12:30下山開始

下りは登り以上に危険なので、注意深くゆっくり下山しましょう☘️

二ノ越周辺のガレ場を通る時は浮石に注意!
疲れ、気のゆるみ、集中力の低下など、ケガが多いのは下山の時です。

STEP
14:30:室堂到着

服装

  • エリのある長袖
    標高3,000mは日差しが強いため日焼け対策
    下着は化繊素材がおすすめ
    (綿素材NG:とても乾きにくい)

  • ツバのある帽子

  • サングラス

  • 手ぶくろ
    (ガーデニング用のゴム製など)

  • 底が固いハイカットの靴
    (長靴NG:雪渓で滑る)

  • ポール
    (あると重宝:足の負担を軽くできる)

  • ポケットに行動食
    (ジップロックなどにアメやチョコなど個包装のものを、リュックから取り出さなくても良い)

持ち物リスト

  • リュック
    防水対策は、リュックに大きなゴミ袋を入れて、その中に荷物をまとめて入れると濡れない!

  • 水2L(1人分)
    5ml×体重(kg)×時間(h)が必要

  • 上下が分かれた雨具
    ポンチョはNG
    (風であおられるため危険)

  • 防寒具
    フリースやダウンなど
    (低体温症のリスクを防げる)

  • ヘッドライト
    両手を開けて歩ける
    (スマホの明かりは代用できない)

  • スマホと予備バッテリー
    山頂は電波が通じる
    (長時間の登山でバッテリー切れに注意)

  • 体温計

  • パルスオキシメーター(あると参考になる)

  • 応急処置キット
    カットバン
    滅菌ガーゼ(上から貼るシートも)
    小さなラップ(ガーゼ上からぐるぐる巻き固定)

体調管理について

脱水を防ぐ

脱水が原因で熱中症、高山病、低体温症に!

脱水を防ぐためには、登山前・登山中の水分と塩分補給が重要、トイレは我慢しないこと。

水分補給:1時間に5ml×体重(kg)
登山に必要な量:5ml×体重(kg)×時間(h)


例)
50kgの人は1時間に250mlを摂取
6時間で1500mlが必要

脱水は尿がバロメーター

  1. 白くてサラサラ・・・OK
  2. 黄色・・・・・・・・軽度脱水
  3. ドロドロ・・・・・・重度脱水
  4. 出ない・・・・・・・重症
  • 高山病
    まず頭痛からはじまる。
    吐き気・疲労感・めまい・睡眠。

    下山しないと治らない。

    【症状が軽い場合】
    口から30cm離した人差し指に向かって、ろうそくを消す様に長く息を吹きかけ続けてみる。
    (息を吐くことで吸うことができるので良くなる場合がある。)

  • 熱中症
    足がつる・だるさ・頭痛・めまい・吐き気

    日陰で寝かせて水分と塩分補給、体に水をかけてあおぐと気化熱で体温を下げることができる。
    立山登山道には日陰がないため、ツェルトという簡易テントがあれば布を広げて日陰を作ることができる。

    足がつる原因は、塩分不足なので塩や梅干しなどで補給、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)という漢方薬もある。

  • 低体温症
    震え、判断力の低下

    体が雨に長時間ぬれると低体温症になる、雨具とフリースやダウンを装備していけば防げる。

休憩時の保温

体を冷やさない様に上着を羽織ったり、温かいものを飲んだり、カロリーを摂取する。

じっとしていると血行が悪くなるので、肩を回したり足を動かすのもおすすめ。

出血の応急処置

感染防止のため手袋とマスクをして対応する。
キズを水で洗い流してから圧迫止血、滅菌ガーゼを当ててから上から手で押さえ続ける。

通報する場合

  • 110番
    「山岳遭難です、救助を要請します。」と意思表示し、どこで、誰が、どうなった、天候を伝える

  • 076-463-5537(室堂の山岳警備隊)

入山届(登山届)を出そう

登山届を出す理由は、万が一の遭難に備えるためです。登山届によって登山者の緊急連絡先や行動範囲、持ち物を知ることができ迅速な救助につながります。室堂ターミナルまたはオンラインでも申請できます😊

①オンライン登山届コンパス
 https://www.mt-compass.com

②室堂ターミナル内の入山安全相談窓口

富山山岳警備隊のXをチェック

富山県警察山岳警備隊のXは毎日更新して山の様子や登山で気をつけるポイントを伝えています。

まとめ

立山登山は素晴らしい経験です✨
しかし、登頂を目的にしてしまうと、どうしても無理をすることで遭難リスクが上がるそうです。
天気が悪くなりそうな場合や、下山が遅れそうな場合は登頂をあきらめることも大切です。

グループで登る場合は、体力がない人や遅い人を前方に配置して、ペースを合わせてあげましょう💕
仲間と15m離れると遭難リスクが高くなるそうなので、単独行動は避けて安全な登山を心がけましょう。

無理をしない「思いやり登山」が
できると良いですね☘️